西陣織金襴について

色糸を使って織物を織る先染(さきぞめ)の紋織物の総称である「西陣織」。なかでも、金糸や銀糸が使われる豪華な紋織物が「金襴」とよばれます。

製造工程

西陣織金襴は、大きくは下記の工程に分かれます。各工程ごとにさらに細かで複雑な工程があり、それぞれに多くの職人が関わっております。金襴織物は、高い技術力を持った職人たちがつくりあげる、日本が誇る伝統製品です。

  • 企画・製紋

  • 原料準備

  • 機準備

  • 製織

  • 仕上げ

下記より、工程の中でも特徴的なものついてご説明いたします。

図案

図案は、先染の紋織物である西陣織にとって、もっとも重要な工程といえます。企画であり、設計図でもあります。商品としての価値を決定する最大の要素と言っても過言ではありません。
現在では、国内はもとより、海外デザイナーとも広く交流し、世界のファッションをリードするフランスでも作品展を開催しています。こうして、世界の流れを研究する一方、日本の伝統的意匠の継承、発展の努力も続けられています。西陣織の「新しさ」は、こうした研究と努力によって築き上げられています。

衣装紋紙

一般にはなじみの薄い名称ですが、西陣織にとって欠かすことのできない重要な部門のひとつ。図案から織物になった状態を考え、どのような配色をし、経糸・緯糸をどう組み合わせると最も美しいかを練り上げ、意匠紙に図案模様を拡大・縮小して丹念に塗分けます。これは紋意匠図と呼ばれ、織物のいわば設計図です。
紋意匠図は、組織図とともに紋彫へ回され、ピアノ式紋彫によって紋紙に孔があけられますが、近年は機械も導入されています。紋紙は簡単な織物で千枚、複雑なものになると四万枚も必要とされます。このように膨大な紋紙がジャガード機にかけられ、緻密で豪華な西陣織が生まれます。

撚糸

細い何本かの糸を合わせて、糸の太さを加減したり、糸に特別なひねりをかけて風合いをだすのが撚糸です。
西陣織の撚糸は、明治時代からほとんど改良の加えられていない八丁式撚糸や張撚式撚糸が中心でしたが、最近では効率的な機械撚糸に取って代わりつつあります。

糸染め

西陣織は先染め織物なので、糸の段階で染色されます。現在は機械による染色が多くなっていますが、高級品織物は、昔から伝承されている手染めに任されます。この世界は、糸の扱いだけで三年、一万色を染めて一人前、完全な色合わせができるまでは十年かかると言われます。
和装物の他、レースやインテリア、ネクタイや高級服地も先染されており、特殊な染色として、板締め、くくり染めなどがあり、西陣織をバラエティ豊かなものにしています。

整経

西陣の織物には、少ないもので三百本、多いものになると七~八千本もの経糸が使われていますが、必要な長さと本数の経糸を準備するのが整経です。百個前後の糸枠から出た糸が大きなドラムに巻き取られていきます。一見単純な作業のようですが、厳しい目と熟練した技術が要求されます。

綜絖(そうこう)

ジャガードの指令にもとづいて、経糸を引き上げる作業です。たとえば、経糸五千本の織物には五千本の綜絖が必要であるため、なにより手先の器用さが必要とされる作業です。
 

金銀糸

箔押しの技術から応用された金銀糸は、現在和装関係だけでなく様々な品物に利用されています。
良質の和紙の下地に漆を引き、薄紙についた金箔を竹ばさみで一枚ずつ張り合わせます。それを綿で軽く押し、多湿の室で干し、その後糸状に裁断し、芯糸とともに撚りあげて金銀糸に仕立てられます。

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